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ドンヒョクのPDAより;5 「雨の降る風景I」 |
| ホテルのイタリア料理のレストランで、あなたにもらった観光案内のパンフレットを見ながら、僕は一人のランチをすませた。 このレストランのパスタは今まで食べた中では最高とは言えなかったが、あなたのお気に入りのカルグクスよりずっと美味しかったことだけは間違いない。 だが僕はまた何かが足りないような感じを覚えていた。それが何なのか、昨晩からずっと考えているのに、いまだに答えが見つからないことが僕を苛立たせていた。 奇妙なことに、僕の人生が今までとは変わってしまったのを僕は感じはじめていた__僕が幸せだと今まで思っていたものはもう僕を満足させてくれはしなかった。 「ミヒ、ソ・ジニョン支配人の誕生日プレゼント、何にした?」 背後でそう誰かが言っている声が聞こえた。 「あっ、すっかり忘れてたわ。金曜日だったわよね?」 もう一人のほうがそう答えた。 「そうよ。私は財布にしたわ・・・」 ・・・僕は微笑んだ・・・ 昼食のあと、エレベーターのところで、僕は小さな女の子を連れたあなたを見つけ、退社時間を尋ねた。 勤務時間は4時までだが、8時に先約があるとあなたは答えた。それはつまりその間に僕が使える時間が4時間あるということだった・・・観光案内のパンフレット・・・宗廟・・・そうだ、宗廟の観光に行くのはどうだろう? 「一緒に行ってもらえますね?」と僕は言った。 僕は、あなたに断る時間を与えたくなくて、「では4時10分にロビーで」と言うと、そのまま歩き去った。 僕は4時にロビーに着き、あなたを待った。あなたが来たのは4時14分だった。4分の遅刻だったが、これからの4時間をあなたと過ごせると思うと、そんなのはごくささいなことのように僕には思えた。 僕は車を停めるために宗廟の入り口であなたを車から降ろした。僕が入り口のほうへ向って歩いていると、あなたは僕に向って手を振りながら叫んだ。「買うものがあるから待ってて・・・ちゃんと待っててください・・・どこにも行かないで・・・」 それからあなたは僕に背を向けて走り出したが、また振り返り、叫んだ。「ちゃんと待っててくださいね!・・・」 わかったわかった。ちゃんと聞こえてる。子供じゃないんだから、あなたが戻ってくるまで僕はここでちゃんと待ちます。 本当にあなたはなぜかいつも僕を笑わせてくれますね・・・ あなたを待つ間、僕は入り口の観光表示を拾い読みしていた__19人の王と、30人の王妃・・・なぜ数字が違うんだ? 王妃のほうが王の数より多いのはなぜだろう? その時、綿菓子を手にあなたが戻ってきた__二つのうち、一つは自分の分で、もう一つは僕の分だった。僕はあまり甘いものは好きじゃない。最後に綿菓子を食べたのがいつだったのか思い出せないくらいだ。 それにしても、どういうわけか、あなたには僕の苦手な食べ物を探し出す才能があるらしい__昨日はカルグクスで、今日は綿菓子だ。次にはいったい何を食べさせられることになるんだろう・・・ だが、あなたが僕に買ってくれたものだったから、僕はそのまま綿菓子を手に持っていた。僕が綿菓子を口にしないのに気づくと、あなたは理由を聞いた。 男性は綿菓子が苦手な人が多いでしょうね、と僕は言った。煙草を吸わない人なら別ですが。 すると、あなたはチョコレートが大好きだという男性の話をした。はじめは、僕はその話を大して気に留めていなかったが、あなたはだんだん真面目な表情になって、その男性の食べ物の好みを話し始めた。 「Òその人Óは煙草も吸うんですよ・・・それなのに綿菓子も好きなんです。いつもバレンタインデーにチョコをあげるんですけど、Òその人Óには普通のチョコじゃだめなんです・・・好みがうるさくて・・・舌が肥えちゃってるんですよね・・・」 その男性の話をしているあなたの目は輝いていた。 バレンタインデーには毎年その人にチョコレートを? 今年もあげたんですか? その人は誰なんですか? 僕はその答えが知りたかった。僕はその男性が羨ましかった。いや、もっと正確に言うなら、僕はその男に嫉妬していたのだ。 その人は誰なんですか? 僕はその男が誰なのか、知りたかった。 あなたは僕の質問をはぐらかそうとして、宗廟のなかへと僕を連れて行った。僕はあなたのあとに続いた。 あなたはあちこちを行き当たりばったりに指差しては僕に教えた。「お墓じゃなくて、なんだったかしら・・・実はよく知らないんです・・・」あなたは申し訳なさそうに笑った。 あなたの仕事がガイドじゃなくてよかった。ガイドとしては失格だから。 だがちゃんとした案内をしてもらえなくても、僕は大して困っていなかった。本当は観光になどそんなに興味はないし、ガイドを必要としているわけでもなかったからだ。大事なのはこの午後をあなたと過ごすことだった__あなたと一緒にいると僕はなんだか幸せな気持ちになれた。 たぶん・・・僕はあなたの笑顔をすっかり見慣れてしまって、それがないと物足りなくなってしまうんだろう・・・たぶんそうだ・・・ 「・・・部屋が19室・・・19人の王と30人の王妃・・・もう一つの建物のほうには15人の王と17人の王妃・・・宗廟は1608年に再建され、総面積は5万6,503坪・・・」僕はあなたに助け舟を出した。 「あらまあ!! ハーバードでそんなことも教えるんですか?」あなたがびっくりして叫んだ。 なんてばかな質問だろう。そんなわけがない! ビジネスの学校でそんなことを教えるはずがない。 僕はその数字に興味をひかれただけだ。僕にとっては人間よりも数字の方がよっぽど面白かった。数字を見ると、その数字が目につき、そのなかに意味を見出そうとするくせが僕にはあった。そうやっているうちに、たまたまそれらの数字が頭に入るだけのことだ。 とはいえ、数字を暗記することと、その数字の背後に隠された事実を理解することは別だ__34人の王と、47人もの王妃__この数字が意味するものは? 王妃のほうが王よりも多い__それはつまり王は自分の王妃を本当に愛してはいなかったということか? 誰かを真剣に愛していたら、同時に他の人を愛したりはできないはずだ。 誰かを真剣に愛したなら、一生その人を愛しとおせるだろうか? 誰かを愛するのはとても難しい・・・誰かを愛するということは、自分から多くのものが奪い取られてしまうということだからだ。 あなたはどうなのだろう。 「真実の愛というのを信じますか?」と僕はあなたに尋ねた。 あなたが答えられそうになかったので、僕は質問のしかたを変えた。「あなたが毎年チョコをあげている人のことです。その人のことを愛していますか?」 その質問にもあなたは答えなかったが、あなたの顔から笑顔が消えた。 訊くべきじゃないことを僕は訊いてしまっただろうか? そこで僕は少し話題を変えた。 「王と王妃のようにではなく、市井の人々のように」 僕は、僕たちからそう離れていないところで記念写真に納まっているカップルを指差した__背の高い新郎と、背の低い新婦、それに年増の新婦と若い新郎だった。 なんだか不釣合いだわ、とあなたは評した。「お互い、相手を取替えっこすればいいのに」 だが現実はそんなものだ__背の高い方の新郎はその背の低い新婦と結婚したいと思ったのだし、年増の新婦のほうはあの若い新郎と人生を共にしたいと思ったのだ。 一見不釣合いに見えるカップルだが、彼らは互いに自分のないところを補え合えるからこそ一緒になったのだし、それがたぶん自然の摂理というものなのだろう。 「まあ・・・それもハーバードで習ったんですか?」またあなたがびっくりして叫んだ。僕の学歴の話をあなたが今日口に出すのはこれで2回目だった。 僕は笑いながら首を振った。 僕は確かにハーバードで必死に勉強した。実際、自分の知りたいことはなんでも学べたと言える・・・それが机の上の学問である限りは。 だが、例えば、金では買えないというあなたの幸せのように、学校では教えられないものも存在する。どんなにたくさん本を読んでも、それを得ることはできない・・・それは心を開いて受け入れなくては感じることができないもので、しかもそうやってそれを得ようとしているうちに傷つくことになるかもしれない・・・だが、それでも進んでいかなければ、その何かを見つけ出すことは決してできないのだ・・・ |
From: Dong Xian’s PDA “True love”
by TT
Translator: silverblue
Coordinator : Milomomo
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ジニョンの思い:5 「雨の降る夜景I」 |
| 私は今日、ソウルホテルの新しいお客様を迎え入れた。彼女のお父様のデラックスルームへ向けて「さあ、行きましょう」私は彼女の手を取り、微笑んだ。 スジンは明るくて賢そうな子ね。 エレベーターへ向かう道すがら、カップルが通りすがった。スジンはこのカップルは不倫関係であると言った。ふ~~ん、どうしてこの子はそう思うのかしら?どうして私は何も分からないのかしら? 私たちはホテルのエレベーターロビーに着いた。ボタンを押して、「ふ~~」。 待っている間、私はあの聞き覚えのある咳払いを、背後から聞いた。 振り返ってそして・・・飛び上がりそうになった。どうやってこの技を得たのかしら?いつも音も無しに、私の背後に現れるなんて。おかしいわ。 私は微笑んでお辞儀した。 「今日は」彼はたった今お昼を食べたところかしら?彼がこのホテルのレストランのイタリアン料理が気に入ってくれて、良かったわ。 「ああ、この方はスジンさんです。このホテルの新しいお客様です。」 私は彼に紹介した。 今日は4時に仕事が終わります。彼は私をツアーガイドとして招きいれた。でも、8時に歓迎会に出なきゃ・・・。 「それまで十分時間はあります。8時までには戻ってこれますよ。是非僕と行きましょう。」 そして彼は「4時10分にロビーで待ってます。」と付け加えた。 彼は私が答える前に、行ってしまった。 エレベーターが到着した。スジンが「あの人、お姉さんのこと好きね。女のカンよ。」と言い、自身満々の笑顔を見せた。 彼が?どうして分かるの?不思議・・・。 3時半になったので、私はヒョンチョルをスジンに部屋で紹介した。 「スジン、ヒョンチョルお兄さんよ。お父さんが戻ってくるまで、お兄さんが面倒みてくれるわ。良い子にしてるのよ、ネ。」 私はヒョンチョルに「一時間置きにチェックして」と念を押した。 フロントに走って戻り、従業員に仕事を引き継ぎ、4時になる前にダッシュで更衣室に向かった。 急いで着替えをして、身なりを整えた。観光案内のパンフレットを見てる時間も無いわ。 するとそこにムッツリしたイ支配人が居た。彼女はまだ総支配人に渡した、間違ったプレゼントを気にしているみたい。彼女は総支配人が花粉症だって知らなかったのね。たとえ私と彼女はよく衝突するけど、今回はちょっと可哀想に思うわ。 「チョコレートが好きなのよ。まるで子供みたいに。」と私は彼女が欲しがってる答えを教えてあげた。 彼女は明るくなり、私は微笑んだ。 私がロビーへ行く途中フロントを通ったら、「ソ支配人!お電話です」と声がした。 その電話を取ると、それはウォンさんだった。私はお客様に、今スジンを見て来たところで、彼女は大丈夫ですと安心させた。 そしてヒョンチョルにもう一度、スジンを定期的にちゃんとチェックするように念をおした。 私はロビーへと急いだが、少し遅れた。お辞儀して「すみません」。 「いいですよ」と彼は言った。私は彼に微笑んだ。 「僕達、今日は青で揃ってるね」と彼は、お揃いの青と白の服について言った。 彼は微笑んで、私達は出発した。 オモオモ!シルバーのジャガーだわ! 宗廟に着く前に、彼は車を停める為私を降ろした。私は近くのお店で綿菓子を売っているのに気が付いた。私はこっちに歩いてくる彼に手を振って、 「ちょっと買い物してる間、待っててください。入り口の所でお待ち下さい。何処にも行かないで。」と言った。 私は走りながら2度振り返り、彼がまだちゃんとそこにいるか確かめた。 「何処にも行かないで下さいね」 最後に綿菓子を食べたのはいつだったかしら?こんな所で見つけるなんて、ラッキーだわ! 「すみません、綿菓子2本・・・え~っと、ピンクのと緑のを下さい!」私は嬉しそうに頼んだ。 宗廟の入り口に走って戻り、「はい、どうぞ」と元気に笑って、緑の綿菓子を彼に渡した。 私達は宗廟の中へと入っていった。 私は綿菓子を食べていたが、どうして彼は食べないの?殆どの男性は甘い物が嫌いなのかしら?ソウルホテルには1人、甘い物好きな男性がいるわ。 テジュンさんは煙草も吸うけど、チョコレートとか甘い物が好きよ。私は歩きながら言った。 昔はテジュンさんに、バレンタインデーで高級チョコレートをあげてたわ。舌が肥えてる・・・。え、いいえ、今年はあげませんでした。機会が無くって・・・。 今は、そういう存在でもないし・・・。 「それは誰ですか?」とあなたは聞いた。私は突然現実に戻った。 「あああ・・・」私は止まって彼を見た。羨ましがってるの?どういう意味かしら? 私は、彼が私を一度激しく見た事に気が付いた。 わ、わ、私・・・私は「あっちの方に行ってみましょう」と話をそらした。 私は彼を宗廟の向こう側へ案内した。 ドンヒョクさんと私は、主な場所に着いた。 「ここは昔、王と王妃と内妻が・・・え~~~っと」私はあっちこっちを指差した。 全く!私ってばもうこの部分の歴史を忘れてるわ。 彼は私の近くに立って、やっと綿菓子を食べ始めた。 私は乏しい自分の全力を尽くして、「お墓じゃなくって・・・その・・・何だったかしら・・・」私ってば恥ずかしいわ。歴史を何にも知らないなんて。 「実は良く知らないんです・・・」はっきり言って、私は歴史苦手なの。 ドンヒョクさんはメガネを正しい位置に動かし、こう始めた。 「正殿には19室あり、19人の王、そして30人の王妃が。あの英霊伝には15人の王と17人の王妃が眠っている。1608年に再建され、確か総面積は56503坪かな・・・」 これには驚いたわ。彼ってばツアーガイドになれるわ! 「オモオモ!ハーバードでもそんなこと習うんですか?」私は笑った。 彼は観光案内を読んだだけで、歴史を覚えてしまうの?凄いわ!いつ、どうやってそんなことしたの? 「王達・・?」私は何とか思い出そうとした。 彼は私が難しがっているのに気がつき、王の数に対しての王妃や内妻の数の話題を持ち出した。 彼は早くて、とても正確だわ。王妃や内妻の数の方が王の数よりも多い。女権侵害だわ。私は抗議した。 私は王達が本当に王妃達を愛していたか疑問に思った。 「あなたが毎年チョコレートをあげていた男性を、あなたは愛していましたか?」彼は聞いた。 この質問にビックリした・・・。テジュンさんと私は、今は友達よね。この事は過去へスリップした。 「王や王妃とは違いますが・・・」彼は向こう側を指差して「例えば向こうにいる人達の様に・・・」 私は彼の指差す方向を見た。 2組のカップルが結婚式の写真を撮っている。このカップルは見た感じ、釣り合っていないわ。背の高い新郎に、背の低い新婦。年下の新郎に、年上の新婦。 カメラマンはきっと、調和された瞬間を撮る事は出来ない。 私は微笑んで、更に付け加えた。「ちょっと可笑しくって、フェアじゃないわ」 う~ん、カップルは見た目釣り合ってないってことよ。え~~~っと、そうね、例えばパートナーを変えれば良いんじゃないかしら? 「だから良いんですよ。お互いが、不足している分を補うんです。」と彼は説明した。へえ~。私は考えて、頷いた。確かにそれも正しいわ。 「そうですね。それは正しいです。さすがハーバード出ですね。」 私は冗談を言って笑った。 彼は「例えいくら勉強しても、伴侶を見つける方法なんて・・・」 え?それってどういうこと? 彼は私の目をまた真っすぐ見た。目が眩みそうだわ。鼓動が一層早くなって・・・。 「トゥルルルル・・・」私の携帯電話が鳴り出して、現実に戻った。 私はスジンと話終わって、彼のところへ戻った。ドンヒョクさんは階段に座り込んで、何か考え事をしているみたい。 「バレンタインデーの人からですか?」彼はそんな質問をした。 え!!ち、違いますよ。ほら、あのエレベーターのロビーで見た、小さな女の子です。覚えてますか? ええ、私は子供が好きです。私の姪っ子・・・。フフ、ホントに可愛いくって、甘い物が好きで。「叔母さん、叔母さん」って、思わず飴を買ってあげたくなっちゃう!私は微笑んだ。 子供の世話は大変だけれど、子供たちは愛しいし、暖かいわ。 「子供を酷く嫌う人なんて、いません。」私はそう思う。 子供を置き去りにした親達? そうね、たぶん理由があったのよ。確かにそういうニュースを聞いたりするけどれど、私は両親が進んで子供と離れたがるなんて考えられないわ。 「どうやったら子供達を捨てられるんです?」彼は遠くを見た。 「まるで私の父みたいです。あなたのお父様はどうですか?」 彼は突然立ち上がって、歩き出した。 何か悪い事いっちゃったかしら?彼は出口の近くで止まって、私を待った。 オモオモ・・・。私ってば、彼の個人ツアーガイドに失敗しちゃって、恥ずかしいわ。でも、彼の頭の良さには感心させられた。 彼の熱い眼差しは私の鼓動を早めた。どうして? オモ!もう7時10分じゃない。今日の午後は時間が早く過ぎ去ったように感じるわ。 それに、私は彼との時間を楽しみ始めているわ・・・。 |
From: Zhen Yin’s Thoughts: “Love? Compatibility?” by Haze
Translator: Milomomo